第3回 北の森林サイエンスCAFE-地域の人々が集う化学反応の場所へー
5月20日(土)に、北方生物圏フィールド科学センター北管理部(名寄市)の主催で、「北の森林(きたのもり)サイエンスCAFE」を開催しました。今回で3回目となるサイエンスCAFEには、過去最多の27名が参加しました。近隣市町村のみ札幌や十勝地方からも参加者があり、着々と本企画の認知度が上がっていることを実感しています。
サイエンスCAFEでは、まず本センターの福澤加里部准教授から「人と川とササとー脇役が担う森のはたらき」という演題で講演がありました。その後、道北地域でササなどを材料として制作活動している作家・かごあみ絲さんから「かご編む暮らしを編む」というテーマで話題提供されました。
福澤准教授の講演では、ササの知られざる生態について紹介があった後、木に比べて脇役として見られがちなササが果たしている水質維持などにおける重要な役割について話がありました。絲さんからは、そうしたササという生物を材料として見た時の特徴についてや、ササを使った制作活動をビジネスとして行っていく上でのビジョンなどについて写真を交えながら紹介がありました。絲さんは、かごを編む際に使っているササを割いたものや、素敵な作品を多数会場へ持参してくださり、参加者たちは講演が終わった後も、実物を手にしながら歓談しているのが印象的でした。森の植物の研究者と、それらを生業へ利用している作家さんに同時に登壇していただくスタイルとすることで、これまでにない化学反応が起きることを期待して行ってきた本イベントですが、企画者の予想以上に、多様なジャンルの方がさまざまな目的で交流をするために集まる場となっています。森を題材に、研究者と利用者が語り合うこのような教育イベントは、両者の「現場」となる森に近い場所に大学の地方施設があるからこそ開催できるものです。参加者からアンケートを通じて寄せられた次回に題材として希望するテーマにはユニークなものもあり、次のサイエンスCAFEはどんな内容とするか今から考えるのが楽しみです。今後も、北管理部は、北の森林を学び、社会へその魅力や重要性を伝える市民に開けた場所として、さまざまな企画を考えていきたいと考えています。