【北管理部】第2回 北の森林(もり)サイエンスカフェを開催しました

 11月24日(木)に、「北の森林(きたのもり)サイエンスCAFE」を開催しました。7月に行なった第1回目に引き続き、今回も、研究林を含む地域の森林の「木」に焦点を当て、その利用と研究の結びつきを紹介するプログラムを企画しました。

 参加者は13名で、一般社会人の方を中心に、行政関係の方、北大の大学院生など多彩な顔ぶれでした。スタッフが心をこめて準備したコーヒーを味わった後、まず、ゲストスピーカーである宮地鎮雄さん(東川町・工房宮地 代表)から「森の話 木の話~家具のふるさと 森の木が家具になるまで~」の演題で講演していただきました。宮地さんは、北海道のクルミ(オニグルミ)を使った椅子づくりで著名な、旭川家具を代表する作家さんです。材料の調達は、研究林が所在する中川町で行っており、とくに1本1本の立木を大切に、お客さんと一緒に山まで入り「この木」を使うことを決め、その木が、丸太を経て板となり家具の部材となるまで紐づけして、極力無駄のないよう製作していく過程を丁寧に紹介していただきました。大量生産では決してできない、自然の恵みを最大限尊重したものづくりの理念がたいへん印象的でした。

 続いて、北管理部の小林真准教授からは「土によって変わる木材の色」の話題提供がありました。この研究は、宮地さんの長年の観察を端緒に、上述の中川町での取り組みをきっかけにはじまったとのこと。クルミは、北海道産の広葉樹の中でとくに濃い材色になることが特徴ですが、宮地さんは、その色に生じる大きな個体差の原因に疑問を抱いていました。そこで、小林さんらの研究グループが、実際に家具となった木が育っていた場所の「土」に注目して研究を行った結果、材色の濃淡は、土壌中のマグネシウム含量と相関関係があったことが紹介されました。質疑応答では、将来的に色の濃いクルミを育てるための方法や、今後の研究の具体的な提案も出され、予定時間をオーバーして議論が盛り上がりました。

 7月の第1回目は昼時間の開催でしたが、今回は平日のオフタイム(17:30~19:00)に時間を設定しました。日の短い季節にも関わらず、名寄市外からも来ていただいた方も複数おられました。今後も、なるべく多くの方々に参加していただけるよう工夫しながら、幅広い研究アウトリーチを地域に届けるよう、この取り組みを継続していきたいと考えています。

 

 

工房宮地・代表 宮地鎮雄さんの講演の様子
工房宮地・代表 宮地鎮雄さんの講演の様子
宮地さんの椅子(一部は研究林産材をつかったもの)        会場に持ってきていただき、休憩時間に座りごこちをたのしみました
宮地さんの椅子(一部は研究林産材をつかったもの)        会場に持ってきていただき、休憩時間に座りごこちをたのしみました
小林准教授の講演の様子
小林准教授の講演の様子
コワーキングスペースでのコーヒータイム
コワーキングスペースでのコーヒータイム