2019年6月16日(日)の自然観察会には、地元音威子府村のほか、天塩町や士別市の方など計13名の皆さんにご参加いただきました。
今回は、あいにくの雨だったため、野外での滞在時間を短くしました。その分、時間に余裕ができたので、案内コースを一部追加して実施しました。
まずは、ササを刈り取った森へ行き、そこで研究している福澤准教授から解説がありました。
近年増えたシカにササなど林床植生が食べつくされた結果として、養分保持などの森林の機能が損なわれることが懸念されています。そこで中川研究林では、実験的に大規模に(集水域スケールで)ササを除去して、土壌での窒素循環や樹木の生長、河川水質へ及ぼす影響などを調べています。
参加者の方に、ササを刈り取った場所の沢と、隣接している沢(ササを刈り取っていない)の水それぞれと雨水のサンプリングを体験していただきました(そしてイベント終わりに庁舎へ戻ってから簡単な水質分析をして、結果を比べました)。
次に、1923-1926年(大正12-15年)に植えられたヤチダモの人工林と、天然のヤチダモの林を見学しました。人工林は90年以上経ちましたが、初期の間伐遅れもあってまだ天然林のほうが太いです。しかし、
中には天然林に負けないほどの太さになっている木もありました。
お昼前に、エコミュージアムおさしまセンターに立ち寄りました。館内には彫刻家の(故)砂澤ビッキさんの作品が展示されており、学芸員の川崎さんに展示品を解説していただきました。その中に、かつて音威子府駅に建ってあったトーテムポール(の一部)があり、それが午前中に見た天然のヤチダモ林の周辺から伐り出されたヤチダモで作られたものだと判明して、感慨深いものがありました。
さらに、アトリエD型ハウス内で名誉館長の河上さんから、ビッキさんとの交流や、中川研究林から大きな切り株が提供されたものの未完成となった作品の経緯などの話を伺いました。
中川研究林とビッキさんとの深いつながりを知ることができました。河上さん、川崎さん、ありがとうございました。
最後にチシマザサの群生地を散策しました。例年だとタケノコが出るピーク頃ですが、今年は5月が暑かったからか、すでにピークを少し過ぎた状態でした。
今回は、研究や人工林の紹介をメインに「中川研究林の今」をご案内いたしました。今年の秋も観察会を計画中ですので、よろしくお願いします!
(中川研究林 馬谷)